
東京都大田区田園調布1-61-10
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「毎日拭いているのに、すぐに赤茶色……」その悩み、諦めないで
愛犬の目元がいつも濡れていて、気がつくと赤茶色く染まっている。朝晩ていねいに拭いてあげているのに、数時間後にはまた涙でびっしょり。独特のツンとしたニオイも気になる……。そんな「治らない涙やけ」に頭を悩ませている飼い主様は非常に多いものです。トイ・プードルやチワワ、マルチーズといった人気犬種に多く見られる涙やけですが、実はこれは単なる「見た目の汚れ」ではありません。医学的には「流涙症」と呼ばれる状態であり、体からの何らかのSOSサインであることがほとんどです。「うちの子は涙が出やすい体質だから仕方ない」と諦める前に、なぜ涙が溢れ続けてしまうのか、その根本的な原因を探ってみませんか?涙やけが治らない本当の理由と、最新の知見に基づいた「内側と外側からのダブルケア」について詳しく解説します。
理由①:涙の出口が詰まっている「鼻涙管閉塞」
涙は本来、目の表面を潤した後、「涙点」という小さな穴から「鼻涙管」という細い管を通って鼻へと抜けていきます。人間が泣くと鼻水が出るのは、この仕組みがあるためです。
しかし、犬の中にはこの鼻涙管が生まれつき細かったり、炎症やゴミによって詰まってしまったりしている子がいます。出口を失った涙は、行き場をなくして目頭から溢れ出し、被毛を濡らし続けます。これが涙やけの最も大きな原因の一つである「鼻涙管閉塞」です。
病院では、細い管を使って鼻涙管に液体を流し、詰まりを解消する「鼻涙管洗浄」という処置を行うことができます。また、ご家庭でも目頭のあたりを優しくマッサージすることで、涙の流れをスムーズにする手助けが可能です。
理由②:刺激が止まらない「逆さまつげ・眼瞼内反」
涙が溢れるもう一つの大きな理由は、涙の「出口」の問題ではなく、「作る量」が多すぎることです。目に常に刺激が加わっていると、体は目を守ろうとして過剰に涙を分泌し続けます。
その代表的な原因が「逆さまつげ」や「眼瞼内反」です。まつげが内側に向かって生えていたり、まぶたが内側に巻き込まれていたりすることで、常に毛が眼球をチクチクと刺激している状態です。
この場合、いくら目元を拭いたり食事を変えたりしても、根本的な解決にはなりません。獣医師によるまつげの抜毛処置や、まぶたの形を整える外科手術が必要になることもあります。愛犬が頻繁に目を細めたり、前足で目をこすったりする仕草が見られる場合は、物理的な刺激を疑ってみるべきです。
理由③:内側からの要因「食事」と「腸内環境」
「鼻涙管も詰まっていないし、逆さまつげもない。なのに涙やけが治らない」という場合、注目すべきは涙の「質」です。
涙には油分やタンパク質が含まれていますが、食事の内容によってこの成分バランスが崩れることがあります。特に、安価なドッグフードに含まれる酸化した脂質や過剰な添加物は、涙をドロドロにさせ、バクテリア(細菌)が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。涙やけの赤茶色の正体は、涙で濡れた被毛に繁殖したバクテリアが出す色素なのです。
さらに、最新の獣医療で注目されているのが「腸内環境(腸内フローラ)」との関係です。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、体内の免疫システムが乱れ、目や皮膚の粘膜に炎症が起きやすくなることが分かってきました。
「腸活」としてプロバイオティクス(乳酸菌など)のサプリメントを導入したり、消化に良い良質なタンパク質の食事に切り替えたりすることで、涙の質がサラサラに変わり、結果として涙やけが劇的に改善するケースも少なくありません。目元のトラブルは、実は「お腹の中の乱れ」を映し出している鏡かもしれないのです。
正しいスキンケア
涙やけを悪化させないためには、日々のケアも重要ですが、間違ったやり方は逆効果になります。
1.「乾拭き」はNG: 乾いたティッシュでゴシゴシこすると、皮膚を傷つけ、さらなる炎症を招きます。必ず専用のクリーナーや、ぬるま湯で湿らせたコットンを使いましょう。
2.「ふやかして浮かせる」: 固まった目ヤニや汚れは、無理に剥がさず、ホットタオルなどで数分ふやかしてから、優しく拭き取ります。
3.最後は必ず「乾燥」させる: 拭いた後、湿ったままにしておくと、そこがバクテリアの温床になります。清潔な乾いたコットンで水分をしっかり吸い取り、目元をドライな状態に保つことが、涙やけ防止の最大の秘訣です。
まとめ
涙やけの改善は、一朝一夕にはいきません。外側からのスキンケアで清潔を保ちつつ、内側からのアプローチ(食事の見直しや治療)を根気強く続けることが大切です。
「拭いても拭いても治らない」と一人で悩まず、ぜひ一度動物病院でチェックを受けてみてください。鼻涙管の詰まりを解消したり、食事を少し工夫したりするだけで、愛犬の表情が見違えるほど明るくなる可能性があります。
真っ白で清潔な目元を取り戻すために、本記事が役に立てれば嬉しいです。
皮膚と耳専門 ヒフカフェ動物病院
獣医師 小林真也