
東京都大田区田園調布1-61-10
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・「ただの癖」と見過ごしていませんか?
愛犬がリラックスしている時、ふと見ると一心不乱に前足を舐めている。そんな光景を日常的に目にしている飼い主様は多いはずです。「うちの子はきれい好きなのかな?」「暇つぶしの癖かな?」と軽く考えてしまいがちですが、実はその「足舐め」には、愛犬が発している切実なSOSが隠されているかもしれません。
足舐めは、一度始まると非常に治りにくいトラブルの一つです。飼い主様が「ダメ!」と注意しても、目を離した隙にまた舐め始める。エリザベスカラーを外せば、待ってましたと言わんばかりに足先を真っ赤に腫れ上がるまで舐め続けてしまう。そんな「治らない足舐め」に頭を抱えている方へ向けて、足舐めの裏に潜む本当の理由を詳しく解説します。
理由①:「痒み」や「痛み」が原因になっている
犬が足を舐める最も直接的な理由は、そこに「不快感」があるからです。しかし、その不快感の正体は、目に見える炎症だけとは限りません。
多くの場合、足舐めは指間炎・趾間炎から始まります。指の間の湿った環境で細菌やマラセチア(カビの一種)が増殖し、強い痒みを引き起こします。また、アレルギー性皮膚炎(アトピーや食物アレルギー)の初期症状として、足先だけに痒みが出ることも珍しくありません。
・指間炎/趾間炎・マラセチア感染:指や肉球の間が赤く腫れ、独特のニオイがする。
・アレルギー性皮膚炎:季節性があったり、特定の食べ物に関連して痒みが強まったりする。
・関節痛・神経痛:皮膚に異常がないのに、特定の部位を執拗に舐める。高齢犬に多い。
・異物の付着・外傷:ノギ(植物の種)が刺さっていたり、肉球に小さな傷があったりする。
意外に見落とされがちなのが、「痛み」による足舐めです。関節炎や腰の痛み(ヘルニアなど)がある場合、犬はその違和感や鈍痛を紛らわすために、関連する部位や、あるいは全く別の場所(前足など)を舐めることがあります。これは人間が痛いところをさする行動に似ています。皮膚の検査で異常がないのに足舐めが治らない場合、整形外科的なアプローチが必要なケースもあるのです。
理由②:心理的な「ストレス」と「強迫観念」
医学的な原因が解決した後も足舐めが続く、あるいは最初から皮膚に異常がない場合、それは心因性(心理的要因)の可能性があります。これを「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」と呼びます。
犬は不安や退屈、孤独感を感じると、自分を落ち着かせるために体を舐めることがあります。舐めるという行為は、犬の脳内でエンドルフィンという快感物質を放出させます。これにより、一時的にストレスが緩和されるため、犬は「嫌なことがあったら舐める」という学習をしてしまいます。
恐ろしいのは、この行動がエスカレートすると「依存症」のような状態になることです。
最初は単なる暇つぶしだったものが、次第に自分の意志では止められない「強迫観念」へと変わっていきます。こうなると、もはや痒いから舐めるのではなく、「舐めずにはいられない」という精神的な問題へと発展してしまいます。環境の変化(引っ越し、家族構成の変化、留守番時間の増加)が引き金になることが多いため、愛犬の生活環境を振り返ってみることも重要です。
理由③:環境的な要因と「お手入れ」の落とし穴
日々の良かれと思っているケアが、実は足舐めを誘発していることもあります。
例えば、お散歩後の足拭きです。濡れたタオルでゴシゴシと強く拭きすぎると、皮膚のバリア機能が壊れてしまいます。さらに、指の間が湿ったまま放置されると、細菌が繁殖する絶好の場となってしまいます。また、お散歩コースに撒かれた除草剤や融雪剤、室内で使っている床のワックスなどが皮膚を刺激し、接触性皮膚炎を起こしている可能性も考えられます。
足裏の毛が伸びすぎていることも要因の一つです。毛が伸びていると、指の間の通気性が悪くなり、蒸れやすくなります。また、フローリングで滑りやすくなることで足腰に負担がかかり、それが前述の「痛みによる足舐め」につながるという悪循環も生まれます。
・「治らない足舐め」を止めるための4つのアプローチ
足舐めを根本から解決するには、単に「舐めさせない」だけでなく、多角的なアプローチが必要です。
まずは動物病院で、細菌や真菌の感染がないか、アレルギーの可能性はないか、そして関節や神経に異常がないかをしっかり診てもらいましょう。原因に合わせた投薬(抗生剤、抗真菌薬、痒み止め、鎮痛剤など)を行うことが大前提です。
炎症がひどい時は、一時的にエリザベスカラーや靴下、包帯などを使って物理的に舐められないようにします。ただし、これはあくまで「応急処置」です。これだけで治そうとすると、外した瞬間にリバウンドで激しく舐めてしまうため、必ず他の対策と併用します。
「退屈」をさせない工夫をしましょう。お散歩のルートを変えて刺激を与えたり、知育玩具(フードを詰めるおもちゃなど)を使って頭を使わせる時間を増やしたりします。飼い主様とのコミュニケーションの質を高めることも、不安解消に大きく貢献します。
心因性の要因が強い場合は、ドッグトレーナーや行動学に詳しい獣医師の助けを借りることも検討してください。場合によっては、脳内の興奮を抑える抗不安薬などを使用することで、舐めるという強迫観念を和らげ、治療をスムーズに進められるようになります。
・まとめ:足舐めは愛犬からの「SOS」かもしれない
「足舐めなんて、そのうち治るだろう」「ただの癖だから」と放置してしまうと、皮膚が硬く象の皮膚のように厚くなったり(苔癬化)、深い潰瘍になったりして、治療がさらに困難になります。
足舐めは、愛犬が抱えている「痒み」「痛み」「不安」の表れです。そのサインをいち早く受け止め、原因を一つひとつ紐解いていくことが、飼い主様にできる最大のサポートです。
もし、あなたの愛犬が今日も一生懸命に足を舐めているなら、それは「助けて」のサインかもしれません。癖と決めつけず、まずは獣医師に相談し、愛犬が心身ともにリラックスして過ごせる日々を取り戻してあげましょう。
皮膚と耳専門 ヒフカフェ動物病院
獣医師 小林真也
繰り返す皮膚のトラブル、その原因を考えたことはありますか?
愛犬の体にポツポツとした赤い湿疹やかさぶたを見つけ、動物病院で「膿皮症」と診断された経験を持つ飼い主様は非常に多いでしょう。膿皮症は犬の皮膚病の中で最も一般的なものの一つですが、同時に「一度治ってもすぐに再発する」「抗生剤を飲んでいる間は良いが、止めるとすぐに悪化する」といった悩みが絶えない疾患でもあります。
「うちの子は皮膚が弱い体質だから仕方ない」と諦めてしまう前に、なぜ膿皮症がこれほどまでに治りにくいのかを理解することが重要です。膿皮症が難治化・慢性化する背景には、単なる細菌感染だけではない、複雑な要因が絡み合っています。膿皮症が治らない3つの主要な理由と、それを克服するためのアプローチについて詳しく解説します。

理由①:薬が効かない「薬剤耐性菌」の出現
膿皮症の治療において、最も深刻な問題となっているのが薬剤耐性菌の存在です。膿皮症の主な原因菌は「ブドウ球菌」ですが、長期間にわたって抗生剤を漫然と使用し続けたり、症状が少し良くなったからと自己判断で投薬を中断したりすることで、菌が薬に対して抵抗力を持ってしまうことがあります。
特に近年では、多くの抗生剤が効かなくなった「多剤耐性ブドウ球菌(MRSPなど)」が検出されるケースが増えています。
もし、これまでの治療で効果が感じられない場合は、まず「薬剤感受性検査」を行う必要があります。これは、実際に愛犬の皮膚にいる菌を培養し、どの抗生剤が有効かを科学的に特定する検査です。耐性菌が疑われる場合、安易に強い薬に変えるのではなく、外用薬(塗り薬やシャンプー)を主軸に据えた治療への切り替えが検討されることもあります。
理由②:隠れた「基礎疾患」が見落とされている
膿皮症は、実は「単独で発生する病気」というよりも、何らかの別のトラブルによって皮膚の抵抗力が落ちた結果として起こる「二次的な症状」であることがほとんどです。つまり、火事に例えるなら、膿皮症は「炎」であり、その火をつけた「火種(基礎疾患)」が別に存在するのです。
基礎疾患が放置されたままでは、いくら抗生剤で一時的に菌を抑えても、薬を止めればすぐにまた菌が繁殖してしまいます。
膿皮症を繰り返す場合、それは皮膚だけの問題ではなく、全身の健康状態からのサインかもしれません。
代表的な基礎疾患には、以下のようなものがあります。
1.アレルギー性皮膚炎: 犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーは、皮膚のバリア機能を著しく低下させ、細菌の増殖を許してしまいます。
2.内分泌疾患(ホルモン異常): 甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などは、皮膚の代謝を悪化させ、免疫力を低下させます。高齢になってから膿皮症を繰り返すようになった場合は、特に注意が必要です。
3.脂漏症: 皮脂の分泌が異常に多くなることで、菌の餌が増え、繁殖しやすい環境が作られます。
これらの基礎疾患を特定し、並行して治療を行わない限り、膿皮症の完治は望めません。血液検査やアレルギー検査を通じて、皮膚の裏側に潜む真の原因を突き止めることが、遠回りに見えて実は最短の解決策となります。
理由③:不適切なスキンケアとバリア機能の低下
「毎日一生懸命シャンプーしているのに治らない」という声をよく耳にします。しかし、その良かれと思っているケアが、逆に膿皮症を悪化させているケースも少なくありません。
健康な皮膚は「バリア機能」によって守られていますが、膿皮症の犬はこのバリアが壊れ、非常にデリケートな状態になっています。ここで、洗浄力の強すぎるシャンプーを使ったり、ゴシゴシと力任せに洗ったりすると、皮膚を保護している必要な脂分まで奪われ、さらにバリアが破壊されてしまいます。
スキンケアの間違い
また、薬用シャンプーの選択も重要です。膿皮症には抗菌成分(クロルヘキシジンなど)が含まれたシャンプーが有効ですが、皮膚の状態(乾燥しているのか、脂っぽいのか)に合わせて選ぶ必要があります。週に何回洗うべきか、何分間成分を浸透させるべきかといった「シャンプー療法」の詳細は、獣医師の指導のもとで行うことが成功の鍵となります。
難治性膿皮症を克服するための3つのステップ
治らない膿皮症に終止符を打つためには、これまでの「対症療法」から「根本治療」へとシフトする必要があります。
ステップ1:徹底した現状把握(検査)
まずは「今、どんな菌がいるのか(感受性検査)」と「なぜ菌が増えるのか(血液・アレルギー検査)」を明確にします。エビデンスに基づいた診断が、無駄な投薬を防ぎます。
ステップ2:多角的なアプローチの実施
内服薬だけに頼るのではなく、外用療法(シャンプー、保湿、塗り薬)、食事療法、そして基礎疾患の治療を同時に行います。最近では、当院では薬浴(消毒液と保湿液の混合した入浴剤を使用)や高濃度炭酸泉温浴などを活用したスキンケアも提案しています。

ステップ3:長期的な管理プランの決定
膿皮症は「治して終わり」ではなく、良い状態を「維持する」ことが目標になります。季節や体調に合わせたスキンケアプランを獣医師と共に作成し、再発の兆候をいち早く察知できる体制を整えましょう。
まとめ:諦める前にアプローチを変えてみよう
「膿皮症が治らない」という状況は、愛犬にとっても飼い主様にとっても非常にストレスなものです。しかし、ここまで述べてきた通り、治らないのには必ず理由があります。
薬剤耐性菌の問題、隠れた基礎疾患、そして日々のスキンケア。これらの一つひとつを丁寧に見直し、適切な対策を講じることで、長年悩まされていた皮膚トラブルが劇的に改善するケースは多々あります。
愛犬が痒みに悩まされることなく、穏やかに過ごせる毎日のために。今の治療に疑問を感じたら、一度立ち止まって、専門的な視点から皮膚の状態を再評価してみてはいかがでしょうか。当院では、皮膚の治療やケアを、その子に合わせたものをご提案しています。お気軽にご相談ください。
皮膚と耳専門 ヒフカフェ動物病院
獣医師 小林真也
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難治化の主な原因
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内容の詳細
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・耳垢石(じこうせき)
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長期間蓄積した耳垢が岩のように固まり、通常洗浄では除去不能になったもの。
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・バイオフィルム
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細菌が膜を張り、抗生剤や消毒液が届かないバリアを形成した状態。
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・中耳炎の併発
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鼓膜の奥(中耳)に炎症が波及しており、外側からの治療だけでは完治しない。
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・耳道の狭窄・増殖
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慢性的炎症や腫瘍などで耳道の皮膚が厚くなり、耳道内が狭くなる。
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