
東京都大田区田園調布1-61-10
TEL.03-6459-7555
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※月曜はカフェのテイクアウト営業のみ
休診日:月曜 ※日・祝日診療可 ※完全予約制
「年だから仕方ない」と諦めていませんか?
愛犬を撫でているとき、指先にポツンとした小さな膨らみを感じたことはありませんか?「あれ、こんなところにイボがあったかな?」と思いながらも、本人が痛がっている様子もなく、食欲も元気もある。そんなとき、多くの飼い主様は「年を取ったからイボくらいできるよね」「これくらいなら放っておいても大丈夫かな」と考えてしまいがちです。
しかし、その「治らないイボ」には、実は見逃してはいけないサインが隠れていることがあります。また、良性のイボであっても、場所によっては愛犬の生活の質(QOL)を著しく下げてしまうこともあるのです。
犬のイボの種類や放置するリスク、そして当院が新しく導入した、体に優しい最新の治療法「凍結治療(クライオサージェリー)」について詳しく解説します。「麻酔をかけるほどではないけれど、このイボを何とかしてあげたい」と悩んでいる飼い主様にとって、新しい解決の糸口になれば幸いです。
そのイボ、本当に放置して大丈夫?
犬の皮膚にできる「できもの」には、大きく分けて良性のものと悪性のものがあります。見た目だけで判断するのは非常に危険ですが、まずは一般的な特徴を知っておくことが大切です。
・良性のイボ(乳頭腫、皮脂腺腫、表皮嚢胞など)
成長が緩やかで、周囲の組織に浸潤しない。カリフラワー状や、皮膚から飛び出したような形が多い。
・悪性の腫瘍(肥満細胞腫、メラノーマ、扁平上皮癌など)
成長が早く、形が不規則。色が黒っぽかったり、赤く腫れたり、表面が崩れて出血(自壊)したりすることがある。
良性のイボであっても、以下のようなケースでは治療を検討すべきです。
1.場所が悪い: まぶたにできて眼球を刺激している、足の裏にあって歩くたびに痛む、口の周りにあって食事の邪魔になるなど。
2.気にして舐める・掻く: 犬が気にして触り続けることで、炎症が起きたり細菌感染を引き起こしたりします。
3.どんどん大きくなる: 良性であっても、巨大化すると皮膚が突っ張って痛みが出たり、手術の際の切除範囲が広くなってしまいます。
特に、「急に大きくなった」「色が変わった」「表面から血や汁が出ている」といった変化が見られた場合は、一刻も早い受診が必要です。
従来の治療法の悩みどころ:全身麻酔の必要性
これまでのイボの治療といえば、主に「外科手術による切除」か「経過観察」の二択でした。しかし、ここには飼い主様にとって大きな葛藤がありました。
外科手術は確実な方法ですが、多くの場合、全身麻酔が必要です。特にイボができやすい高齢犬や、心臓などに持病がある子にとって、全身麻酔は決して小さくないリスクを伴います。「イボ一つ取るために、命に関わるかもしれない麻酔をかけるのは……」と躊躇されるのは、飼い主様として当然の心理です。
一方で、経過観察を選んだ結果、数ヶ月後にイボが巨大化してしまい、「あのとき取っておけば、もっと小さな手術で済んだのに」と後悔されるケースも少なくありません。この「麻酔のリスク」と「放置のリスク」のジレンマを解消するために、当院では「凍結治療」を導入しました。
新導入!「凍結治療(クライオサージェリー)」とは?

凍結治療(クライオサージェリー)とは、超低温の液体(液体窒素や亜酸化窒素など)を用いて、ターゲットとなるイボを瞬間的に凍結させ、細胞を破壊して自然に脱落させる治療法です。人間でもイボ取りの際によく行われる治療ですが、動物医療においてもその有用性が高く評価されています。
凍結治療のメリット
当院がこの治療を導入した最大の理由は、何よりも「負担が極めて少ない」からです。
どのようなイボに適しているのか?
凍結治療は、特に以下のようなケースで威力を発揮します。
凍結治療の流れ:診察からポロリと取れるまで
実際の治療は、以下のようなステップで進みます。
1.診察と細胞診: そのイボが凍結治療に適しているかどうかを判断します。必要に応じて細い針で細胞を採取し、悪性の可能性がないかを確認します。
2.凍結処置: 専用の機器(クライオプローブなど)を用いて、イボを数回凍結・融解させます。犬は少し冷たさを感じる程度で、多くの子が落ち着いて受けてくれます。
3.経過観察: 処置直後は少し赤みが出ることがありますが、数日経つとイボが黒く硬いかさぶたのようになります。
4.自然脱落: 処置から1〜3週間ほどで、イボがポロリと自然に剥がれ落ちます。下からは新しい綺麗な皮膚が再生してきます。
※腫瘍の大きさや種類によっては、1回で取りきれず、数回の処置が必要になる場合もあります。また、深部にある大きな腫瘍や、広範囲に広がる悪性腫瘍などは、従来通り外科手術が推奨されることもあります。
まとめ:小さなイボのうちに、優しく治そう
「イボくらいで病院に行くのは大げさかな……」と遠慮される飼い主様もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。小さなイボのうちに対処することは、愛犬の将来の負担を減らすことに直結します。
凍結治療という選択肢が増えたことで、私たちは「麻酔のリスク」を恐れることなく、愛犬の皮膚の悩みに応えることができるようになりました。もし、愛犬の体に気になる「治らないイボ」があるのなら、ぜひ一度当院にご相談ください。
「ほっといていいイボ」なのか、それとも「優しく取ってあげるべきイボ」なのか。一緒に確認して、愛犬がより快適に過ごせる方法を見つけていきましょう。
皮膚・耳専門 ヒフカフェ動物病院
獣医師 小林
愛犬の背中の毛が薄くなってきた、お腹の地肌が透けて見えるようになった、あるいはポメラニアンのようなフワフワの毛がパサパサになり、ついには生えてこなくなった……。そんな愛犬の姿を見て、「何か大きな病気なのではないか」「もう元の姿には戻れないのか」と、不安を感じている飼い主様は少なくありません。
脱毛症は、膿皮症や外耳炎のように激しい痒みや痛みを伴うことは少ないかもしれません。しかし、見た目の変化が非常に大きいため、散歩中に人目が気になったり、自分のお手入れが足りないのではないかと自責の念に駆られたりするなど、飼い主様の精神的な負担が非常に重い疾患でもあります。
「いろいろな治療を試したけれど、一向に毛が生えてこない」と諦めてしまう前に、一度立ち止まって考えてみましょう。脱毛が治らない理由を整理し、今からでもできるアプローチについて詳しく解説します。
理由①:毛周期停止を起こす「内分泌疾患」
犬の毛は、常に伸び続けているわけではありません。「成長期」に伸び、「退行期」を経て「休止期」に入り、やがて抜けて新しい毛に代わるというサイクル(毛周期)を繰り返しています。このサイクルをコントロールしているのが、体内のホルモンです。
もし、愛犬が「痒がっていないのに左右対称に毛が抜ける」「皮膚が黒ずんできた」「元気がなく、太りやすくなった」といった症状を伴っている場合、内分泌疾患(ホルモン疾患)が原因である可能性が高いです。
甲状腺機能低下症;
代謝を司る甲状腺ホルモンが不足し、毛のサイクルが「休止期」で止まってしまう。尾の毛が抜ける(ラットテイル)こともある。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群);
ステロイドホルモンが過剰になり、皮膚が薄くなって脱毛する。多飲多尿や腹部膨満を伴うことが多い。
性ホルモン失調;
未去勢や未避妊による性ホルモンの影響や、精巣・卵巣の腫瘍によって脱毛が起こる。
これらの疾患は、血液検査で診断が可能です。重要なのは、これらは「皮膚の病気」ではなく「全身の病気」であるという点です。適切な投薬によってホルモンバランスを整えることで、止まっていた毛のサイクルが再び動き出し、数ヶ月後には見違えるほどフサフサに戻るケースも珍しくありません。
理由②:「アロペシアX(脱毛症X)」
ポメラニアン、トイプードルなどの犬種で、ホルモン検査をしても異常がないのに、首から胴体にかけて広範囲に毛が抜けてしまうことがあります。これが、原因がいまだ解明されていない「アロペシアX(脱毛症X)」です。
「X」という名前が示す通り、かつては「偽クッシング症候群」や「成長ホルモン反応性脱毛症」など様々な名前で呼ばれてきました。この疾患の最大の特徴は、「健康状態には全く問題がないが、毛だけが生えない」という点です。
アロペシアXは、命に関わる病気ではありません。しかし、見た目の変化が飼い主様にとって大きなストレスとなるため、治療を希望される方が多い疾患です。
アロペシアXの治療には、決定的な特効薬はありませんが、以下のような多角的なアプローチが試みられています。
理由③:免疫疾患や栄養不足が原因かも
内分泌疾患でもアロペシアXでもない場合、自分の免疫細胞が誤って毛包(毛の根元)を攻撃してしまう「免疫介在性脱毛症」の可能性があります。また、遺伝的に特定の部位の毛が薄くなる「パターン脱毛症」なども存在します。
さらに、意外と見落とされがちなのが「栄養不足」と「腸内環境」です。毛の主成分はタンパク質(ケラチン)です。良質なタンパク質が不足していたり、腸の状態が悪くて栄養を十分に吸収できていなかったりすると、体は命に関わる臓器へ優先的に栄養を送り、命に関わらない「毛」への供給を後回しにしてしまいます。
「高いフードをあげているから大丈夫」と思っていても、その子の体質に合っていなければ意味がありません。皮膚のバリア機能を高める必須脂肪酸や、毛の合成を助けるビタミン・ミネラルが不足していないか、今一度食事内容を見直す価値はあります。
諦める前に試したい「発毛への3つのステップ」
「もう何をやってもダメだった」と感じている飼い主様へ、改めて提案したいステップがあります。
ステップ1:徹底した「除外診断」をやり直す
脱毛の原因は多岐にわたります。まずは、ニキビダニや真菌(カビ)などの感染症がないか、そしてホルモン検査の結果に漏れがないか、皮膚科に強い獣医師による再評価を受けることが第一歩です。
ステップ2:内側からの「土壌改良」
毛が生えるための「土壌」である体を整えます。腸内環境を整えるプロバイオティクスの摂取や、皮膚の代謝を助けるサプリメントの導入、そしてその子の消化能力に合った食事への変更を検討します。
ステップ3:外側からの「刺激」
止まっている毛根に「毛を作れ」という信号を送ります。保湿を徹底して皮膚の乾燥を防ぎ、血行を促進するマッサージや、近赤外線療法や炭酸泉温浴などを組み合わせることで、眠っていた毛根が目を覚ますことがあります。
まとめ:毛が生えることだけがゴールではない
脱毛症の治療は、一朝一夕にはいきません。毛のサイクルが変わるまでには最低でも3ヶ月、長ければ1年以上の根気強い取り組みが必要です。
そして、最後に一つお伝えしたいことがあります。それは、「たとえ毛が生え揃わなかったとしても、愛犬の価値は少しも変わらない」ということです。毛が薄くても、愛犬が痒みや痛みなく、毎日を楽しく過ごせているのであれば、それは一つの「成功」と言えるのではないでしょうか。
「治らない」と決めつける前に、今の愛犬の状態を正しく理解し、できる限りのケアをしてあげること。その愛情こそが、愛犬にとって最も必要な栄養素かもしれません。諦める前に、もう一度だけ、新しい選択肢を探してみましょう。
当院では脱毛症の治療に力を入れています。お気軽にご相談ください。


皮膚科・耳科専門 ヒフカフェ動物病院
獣医師 小林真也
・「ただの癖」と見過ごしていませんか?
愛犬がリラックスしている時、ふと見ると一心不乱に前足を舐めている。そんな光景を日常的に目にしている飼い主様は多いはずです。「うちの子はきれい好きなのかな?」「暇つぶしの癖かな?」と軽く考えてしまいがちですが、実はその「足舐め」には、愛犬が発している切実なSOSが隠されているかもしれません。
足舐めは、一度始まると非常に治りにくいトラブルの一つです。飼い主様が「ダメ!」と注意しても、目を離した隙にまた舐め始める。エリザベスカラーを外せば、待ってましたと言わんばかりに足先を真っ赤に腫れ上がるまで舐め続けてしまう。そんな「治らない足舐め」に頭を抱えている方へ向けて、足舐めの裏に潜む本当の理由を詳しく解説します。
理由①:「痒み」や「痛み」が原因になっている
犬が足を舐める最も直接的な理由は、そこに「不快感」があるからです。しかし、その不快感の正体は、目に見える炎症だけとは限りません。
多くの場合、足舐めは指間炎・趾間炎から始まります。指の間の湿った環境で細菌やマラセチア(カビの一種)が増殖し、強い痒みを引き起こします。また、アレルギー性皮膚炎(アトピーや食物アレルギー)の初期症状として、足先だけに痒みが出ることも珍しくありません。
・指間炎/趾間炎・マラセチア感染:指や肉球の間が赤く腫れ、独特のニオイがする。
・アレルギー性皮膚炎:季節性があったり、特定の食べ物に関連して痒みが強まったりする。
・関節痛・神経痛:皮膚に異常がないのに、特定の部位を執拗に舐める。高齢犬に多い。
・異物の付着・外傷:ノギ(植物の種)が刺さっていたり、肉球に小さな傷があったりする。
意外に見落とされがちなのが、「痛み」による足舐めです。関節炎や腰の痛み(ヘルニアなど)がある場合、犬はその違和感や鈍痛を紛らわすために、関連する部位や、あるいは全く別の場所(前足など)を舐めることがあります。これは人間が痛いところをさする行動に似ています。皮膚の検査で異常がないのに足舐めが治らない場合、整形外科的なアプローチが必要なケースもあるのです。
理由②:心理的な「ストレス」と「強迫観念」
医学的な原因が解決した後も足舐めが続く、あるいは最初から皮膚に異常がない場合、それは心因性(心理的要因)の可能性があります。これを「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」と呼びます。
犬は不安や退屈、孤独感を感じると、自分を落ち着かせるために体を舐めることがあります。舐めるという行為は、犬の脳内でエンドルフィンという快感物質を放出させます。これにより、一時的にストレスが緩和されるため、犬は「嫌なことがあったら舐める」という学習をしてしまいます。
恐ろしいのは、この行動がエスカレートすると「依存症」のような状態になることです。
最初は単なる暇つぶしだったものが、次第に自分の意志では止められない「強迫観念」へと変わっていきます。こうなると、もはや痒いから舐めるのではなく、「舐めずにはいられない」という精神的な問題へと発展してしまいます。環境の変化(引っ越し、家族構成の変化、留守番時間の増加)が引き金になることが多いため、愛犬の生活環境を振り返ってみることも重要です。
理由③:環境的な要因と「お手入れ」の落とし穴
日々の良かれと思っているケアが、実は足舐めを誘発していることもあります。
例えば、お散歩後の足拭きです。濡れたタオルでゴシゴシと強く拭きすぎると、皮膚のバリア機能が壊れてしまいます。さらに、指の間が湿ったまま放置されると、細菌が繁殖する絶好の場となってしまいます。また、お散歩コースに撒かれた除草剤や融雪剤、室内で使っている床のワックスなどが皮膚を刺激し、接触性皮膚炎を起こしている可能性も考えられます。
足裏の毛が伸びすぎていることも要因の一つです。毛が伸びていると、指の間の通気性が悪くなり、蒸れやすくなります。また、フローリングで滑りやすくなることで足腰に負担がかかり、それが前述の「痛みによる足舐め」につながるという悪循環も生まれます。
・「治らない足舐め」を止めるための4つのアプローチ
足舐めを根本から解決するには、単に「舐めさせない」だけでなく、多角的なアプローチが必要です。
まずは動物病院で、細菌や真菌の感染がないか、アレルギーの可能性はないか、そして関節や神経に異常がないかをしっかり診てもらいましょう。原因に合わせた投薬(抗生剤、抗真菌薬、痒み止め、鎮痛剤など)を行うことが大前提です。
炎症がひどい時は、一時的にエリザベスカラーや靴下、包帯などを使って物理的に舐められないようにします。ただし、これはあくまで「応急処置」です。これだけで治そうとすると、外した瞬間にリバウンドで激しく舐めてしまうため、必ず他の対策と併用します。
「退屈」をさせない工夫をしましょう。お散歩のルートを変えて刺激を与えたり、知育玩具(フードを詰めるおもちゃなど)を使って頭を使わせる時間を増やしたりします。飼い主様とのコミュニケーションの質を高めることも、不安解消に大きく貢献します。
心因性の要因が強い場合は、ドッグトレーナーや行動学に詳しい獣医師の助けを借りることも検討してください。場合によっては、脳内の興奮を抑える抗不安薬などを使用することで、舐めるという強迫観念を和らげ、治療をスムーズに進められるようになります。
・まとめ:足舐めは愛犬からの「SOS」かもしれない
「足舐めなんて、そのうち治るだろう」「ただの癖だから」と放置してしまうと、皮膚が硬く象の皮膚のように厚くなったり(苔癬化)、深い潰瘍になったりして、治療がさらに困難になります。
足舐めは、愛犬が抱えている「痒み」「痛み」「不安」の表れです。そのサインをいち早く受け止め、原因を一つひとつ紐解いていくことが、飼い主様にできる最大のサポートです。
もし、あなたの愛犬が今日も一生懸命に足を舐めているなら、それは「助けて」のサインかもしれません。癖と決めつけず、まずは獣医師に相談し、愛犬が心身ともにリラックスして過ごせる日々を取り戻してあげましょう。
皮膚と耳専門 ヒフカフェ動物病院
獣医師 小林真也